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Luan, L. Q.*; Ha, V. T. T.*; 長澤 尚胤; 久米 民和; 吉井 文男; 中西 友子*
Biotechnology and Applied Biochemistry, 41(1), p.49 - 57, 2005/02
キトサンの放射線分解では、脱アセチル化度約80%で初期分子量48万であるキトサンを10%重量濃度の2.5%酢酸水溶液中で、200kGyまで線照射した。キトサンの分子量が照射によって0.9万まで減少し、FT-IRと元素分析測定からC-O-C結合が切断していることを明らかにした。特に100kGy照射して分子量が約1.6万であるキトサンが最も植物生長促進効果が大きく、キク,キキョウやイチゴ等の生体外組織培養における照射キトサン添加効果では、植物体重量が7.2-17.0%、発芽速度が17.9-69.0%それぞれ増加した。またその最適濃度は、キクで70-100mg/L、キキョウで50-100mg/L、スターチスで30-100mg/Lであることを明らかにした。照射したキトサンは、生長促進効果の指標としての自己防御にかかわる植物内のキトサナーゼ酵素を活性化させ、グリーンハウス内でのキキョウやスターチスの幼芽生存率を高めるといった効果があることを明らかにした。
久米 民和
Chitin and Chitosan; Chitin and Chitosan in Life Science, p.190 - 193, 2001/00
キトサンは、放射線処理により粉末・溶液いずれの状態でも容易に分解する。放射線分解したキトサンには、抗菌活性や植物の生育活性化などの新しい機能の発現が認められる。抗菌活性としては、細菌(大腸菌E.Coli)に対する作用が強いが、糸状菌抑制効果も発現する。植物に対しては、植物の自己防御機能(抗菌物質であるファイトアレキシンを誘導するエリシター活性)の増大が認められる。また、重金属(VやZnなど)による生育障害の抑制効果や植物の生育促進などの効果も認められる。これらの結果は、天然高分子であるキトサンの放射線分解により、農業や医療分野で利用できる新しい機能を誘導できることを示したものである。